肝機能障害

肝機能障害とは

肝機能障害とは、何らかの原因によって肝臓が障害され、炎症を起こし、肝臓の細胞が破壊されている状態です。
血液検査では、AST、ALT、γ-GTP、ALP、LDH、ビリルビン等などの値が高くなります。
肝臓でこのような異常が起こっても、初期にはほとんど無症状です。
そのため、健康診断や人間ドックを受けた際に異常を指摘されて気づく方が多くなります。
健康診断・人間ドックで肝機能の異常を指摘された場合には、症状がなくても、必ず医療機関を受診するようにしてください。
肝機能障害を起こす疾患としては、脂肪肝、肝炎、肝硬変、肝臓がんなどがよく知られています。

血液検査の結果から判断できる

健康診断などの血液検査で、以下の基準から外れてしまった場合には、脂肪肝・肝炎・肝硬変・肝臓がんなどの疾患による肝機能障害が疑われます。

指標となる血液検査の項目 基準値
AST (GOT) 8~38 IU/L
ALT (GPT) 4~43 IU/L
γ-GTP (γ-GT) 男性:86 U/L以下
女性:48 U/L以下

肝臓の働きについて

肝臓は、右の上腹部に位置する臓器です。80%を切除しても生命を維持することが可能なほど、高い予備能力(生命を維持しながら切除することが可能な限界容量)を持ちます。
また、我慢強く症状が出にくいことから「沈黙の臓器」としても知られています。
そして主に、

  • 食事によって摂取したアミノ酸などからタンパク質・糖質・脂質・ビタミン・ミネラルなどを作る働き
  • ブドウ糖から作ったグリコーゲンを貯めておき必要に応じて分解・放出する働き
  • アルコールなどを代謝して排泄する働き

を担っています。

肝機能障害の原因

脂肪肝

肝臓に中性脂肪がたまってしまった状態を指します。肥満やメタボリックシンドロームの方は、特に脂肪肝の発症リスクが高いと言えます。
超音波検査を受けると、白い点として中性脂肪が確認できます。ただ、自覚症状はほとんどありません。
適切に治療をせずに放置していると、肝炎へと進行します。

アルコール性脂肪肝

お酒の飲み過ぎを原因として起こる脂肪肝です。アルコールを分解する際に合成される中性脂肪が肝臓にたまります。

非アルコール性脂肪肝

肥満、運動不足など、アルコール以外の原因によって起こる脂肪肝です。
インスリンの働きが低下することで、血液中のブドウ糖が中性脂肪へと変換され、肝臓に溜まります。

肝炎

肝臓の炎症によって、肝臓の細胞が破壊されている状態です。
肝炎が疑われるような症状がみられる場合には、消化器内科に対応する専門の医療機関にご相談ください。

ウイルス性肝炎

A型・B型・C型・E型肝炎ウイルスによって引き起こされる肝炎です。うち、国内ではB型・C型肝炎ウイルスの感染がほとんどを占めます。

基準値
A型肝炎 主な感染経路は、A型肝炎ウイルスの付着した食品・水を口にする経口感染です。
発熱、倦怠感、食欲不振、黄疸などの症状が見られます。
B型肝炎 主に、B型肝炎ウイルス感染者の血液や体液に触れることで感染します。
出産・授乳によって母子感染することもあります。
倦怠感、食欲不振、悪心、吐き気・嘔吐、褐色尿、黄疸などの症状が見られます。
劇症肝炎となった場合には、命を落とすことがあります。
また、肝硬変や肝がんへと移行することもあります。
C型肝炎

C型肝炎ウイルス感染者の血液の輸血、注射器の使いまわしなどで感染します。
発熱、倦怠感、食欲不振、悪心、吐き気・嘔吐、腹痛、褐色尿、白っぽい便、黄疸などの症状が見られます。
60~70%の割合で、ウイルスを保持したままとなる「キャリア」という状態になります。
その場合、慢性C型肝炎、肝硬変、さらには肝臓がんへと進展することもあります。

E型肝炎

E型肝炎ウイルスが付着した生肉などを口にして感染します。
発熱、倦怠感、食欲不振、吐き気・嘔吐、黄疸などが見られます。

アルコール性肝炎

大量の飲酒を長期にわたって続けることを原因として起こる肝炎です。
食欲不振、倦怠感、発熱、右上腹部痛の痛み、黄疸、褐色尿などの症状が見られます。

非アルコール性肝炎

食べ過ぎや運動不足による肥満、糖尿病、脂質異常症などを原因として脂肪肝を合併し、さらに進行した状態です。
放置していると、肝硬変、肝臓がんへと進展することもあります。

自己免疫性肝炎

本来であれば身体を守ってくれるはずの「免疫」が異常を起こし、肝臓の細胞を攻撃し、破壊してしまうことで起こる肝炎です。
厚生労働省による難病の指定を受けています。

薬剤性肝炎

薬の服用、サプリメントの摂取などによって起こる肝炎です。
薬・サプリメントに含まれている成分そのものが原因となるケースと、成分を代謝した結果生まれた物質が原因になるケースとがあります。

肝硬変

肝炎が慢性化し、肝臓が硬くなってしまった状態です。
肝臓の機能は著しく低下しており、血液中のタンパク質濃度が低くなることでむくみ・腹水といった症状をきたします。
肝硬変が疑われる場合には、消化器内科に対応する専門の医療機関をご紹介します。

肝臓がん

肝臓そのものから発生する「原発性肝臓がん」と、他の部位から肝臓へと転移し発生する「転移性肝臓がん」があります。
肝臓がんは、後者である転移性として発症する割合の高いがんです。
原発性肝臓がんについては、B型・C型肝炎ウイルスの感染を原因とした慢性肝疾患から移行するケースが大部分を占めています。
ただ、近年では抗ウイルス薬を使って肝炎ウイルスを体外へと排出することが可能になっているため、ウイルス性感染を原因とする肝臓がんは減少しており、今後もその傾向は続くものと考えられます。
肝臓がんが疑われる場合には、専門の医療機関をご紹介します。

検査方法について

肝機能障害、肝臓の病気が疑われる場合には、以下のような検査を行います。
特に高脂血症・高コレステロール血症、糖尿病の方は、脂肪肝を併発していることが多くなります。
その治療を行いながら肝臓の機能を保つためには、定期的な血液検査、超音波検査が大切になります。

血液検査

肝機能障害の有無や程度、自己免疫抗体などについて調べます。

京都市肝炎ウイルス(B型・C型)について

B型・C型肝炎ウイルスの検査を希望する京都市民の方は、当院で同検査を無料で受けていただけます(血液検査)。
※必ず事前にご予約ください。
※ご来院の際には、ご本人確認・住所確認などができる運転免許証、保険証などをお持ちください。

超音波検査

肝臓の形や大きさ、内部の異常の有無などを調べます。脂肪肝、肝臓がんなどの発見に役立ちます。
特に高脂血症・高コレステロール血症、糖尿病の方は、脂肪肝を併発しているケースが少なくありません。

MRI検査・CT検査

血液検査や超音波検査で診断に至らない場合には、MRI検査やCT検査を追加することがあります。
MRI検査・CT検査が必要になった場合には、病院等で各検査を受けていただくこととなります。

肝生検

肝臓に針を刺して組織を採取し、病理組織検査を行います。
肝臓の炎症や線維化の程度、脂肪肝の有無などの確認、良性・悪性の判定などに役立ちます。肝生検が必要になった場合には、病院へとご紹介いたします。

肝機能障害の予防・改善

肝機能障害を予防したり、改善したりするためには、以下のようなことが大切になります。

  • お酒を飲み過ぎない、できれば禁酒する
  • 適度な運動を心がける
  • 肥満の方は、食事療法・運動療法を組み合わせて適正体重まで減量する
  • 糖尿病や脂質異常症などの生活習慣病があればきちんと治療を受ける
  • 健康診断、人間ドックなどで異常を指摘された場合には、要再検査・要精密検査・要治療

などの指示に必ず従いましょう。