下肢静脈瘤

下肢の静脈がボコボコと飛び出している下肢静脈瘤の多くは無症状ですが、病態が進行すると下肢がむくむ、だるいといった症状が出ます。

このような症状ありませんか?

このような症状ありませんか?

  • 夕方になると足がだるくなる・重くなる
  • 足がむくむ
  • 足がつりやすい(こむら返り)
  • 足に赤い湿疹ができる、かゆい
  • 足に青くて細い血管が網目状に透けて見える
  • 足の血管が膨れ浮き上がっている
  • 足にコブのような膨らみがある

下肢静脈瘤とは

足は心臓から遠い位置にある上に重力の影響があるため、血液を心臓に戻すには大きな働きが必要です。そのため、ふくらはぎにはポンプ機能の役割があります。ふくらはぎの筋肉を利用することでポンプの機能が働き、血液が心臓へ送り戻されるようになります。それらの動きを補助する静脈には「弁」があり、送られてきた血液が逆流しないよう防ぐ役割を担っています(逆流防止弁)。しかし、ふくらはぎの逆流防止弁が壊れてしまうと血液が逆流を起こし、血管内にたまってしまうようになります。この症状が「下肢静脈瘤」です。
下肢静脈瘤の初期症状は主に足のだるさ、むくみなどですが、症状が悪化してしまうと色素沈着や発疹、血管の透け、足のコブ、潰瘍などの症状も起きやすくなります。

下肢静脈瘤の種類

伏在静脈瘤

伏在静脈瘤

下肢静脈瘤の中では一番多くみられる種類です。ちなみに患者さまの中でおよそ7~8割がこの伏在静脈瘤だと言われています。足の付け根や太もも、ふくらはぎにある伏在静脈が膨らんでしまうことで、ぼこぼことしたコブが現れます。コブ以外にも、足のだるさやむくみも発生します。 伏在静脈瘤にも種類があり、ふくらはぎなどにコブが発生する「第伏在静脈瘤」と、ふくらはぎ周辺・膝裏にコブが発生する「小伏在静脈瘤」に分けられます。 大伏在静脈は足裏側を通っているもっとも太い静脈で、大腿静脈と合流しています。この合流部分に負担がかかって逆流防止弁が壊れてしまうと、膝裏に静脈瘤が現れるようになります。下肢静脈瘤の患者数の中では一番多いのが、この第伏在静脈瘤です。 小伏在静脈は足の裏側を通っている静脈で、深部静脈と膝裏で合流しています。この合流部分の逆流防止弁が壊れてしまうと、ふくらはぎに静脈瘤が発生します。

側枝静脈瘤

側枝静脈瘤

足の血管の末端にある、静脈の逆流防止弁が壊れてしまうと発症します。大伏在静脈や小伏在静脈から枝分かれした静脈(側枝)で発生するため「分枝静脈瘤」とも呼ばれています。 側枝静脈瘤は伏在静脈瘤と併発しやすい傾向があるので、併発の有無を見極めることは重要です。発生箇所はおもに太物の裏、膝裏、ふくらはぎに多いのですが、発生範囲が狭いので、一部分が膨れて浮き出るケースが多いです。そのため、症状が進行しているか把握しづらく、知らず知らずのうちに症状が進行してしまうこともあります。
大伏在静脈の枝分かれしている部分の弁が壊れたり、静脈に機能不全が起きてしまったりすることが原因だと言われています。また、稀なケースですが、骨盤内の静脈の逆流が原因で発症するケースも存在しています。

網目状静脈瘤

網目状静脈瘤

直径2~3mmの青い血管が網目状に透けて見える種類です。血管が浮き上がるといった症は見られず、太もも裏や膝裏に発生しやすいと言われています。

クモの巣状静脈瘤

クモの巣状静脈瘤

直径0.1~1mmほどのきわめて細い血管がクモの巣状に透けて見えるのが特徴です。網目状静脈瘤より浅い部分にある、真皮内静脈の拡張が原因で発生します。また、網目状静脈瘤と同じように、血管の盛り上がりは見られません。発生箇所はおもに大腿部、下腿部、膝裏が多いです。

下肢静脈瘤の主な症状

初期の症状

初期症状はおもに足のむくみ、だるさ、冷え、こむら返りなどがあります

目で見えてわかる症状

足の青い血管が透けて見えたり、コブ状のものが浮き上がったりします。

進行すると確認される症状

足のケガが今までと比べて治りにくくなったり、発疹・かゆみが発生したりします。さらに悪化してしまうと潰瘍やただれも起きやすくなります。

下肢静脈瘤になりやすい人は?

女性

女性は男性の約3倍、下肢静脈瘤にかかりやすいと報告されています。とくに生理前や妊娠中は女性ホルモンの影響で血液量が増加しやすいので、逆流防止弁が壊れやすい傾向が強いです。ただし、男性も発症するケースもあるので、油断はできません。

立ち仕事が多い人

販売員や理容師、料理人、教師など、長時間立った状態で仕事する人は、ふくらはぎのポンプ機能がうまく機能しにくくなるため、発症リスクが高いです。

遺伝

親族の中に下肢静脈瘤の方がいた場合、いない方と比べ、発症リスクが高い傾向にあります。とくに両親ともに下肢静脈瘤になった経験がある場合、子供が発症する割合は90%ほどだと言われています。

高齢者

年を取るとふくらはぎの筋力低下が起きてしまうため、下肢静脈瘤にかかりやすくなります。また、逆流防止弁の老化も進行してしまうため、発症リスクの傾向が強いです。

進行状況により症状は日々変化します

初期症状は足のむくみやだるさなど、軽い症状で見た目にも表れにくいです。しかし進行するとコブや発疹、血管の透けなど、外見にも表れるようになります。このように、下肢静脈瘤は進行状態によって症状が異なり、初期症状から一気に重症化した症状が現れることもあります。症状でお困りでしたら、速やかに医師へ相談しましょう。

下肢静脈瘤の治療

下肢静脈瘤の治療方法はおもに圧迫療法、硬化療法、ストリッピング手術などがありますが、最近ではレーザー治療・高周波治療など、血管内焼灼術による治療法も出てきています。
血管内焼灼術は身体への負担が少なく済む処置なので安全性が高く、現在では主流になっています。

圧迫療法

圧迫療法医療用の弾性ストッキングを履くことで、余計な血液が静脈瘤にたまってしまうことを防ぐことができます。下肢静脈瘤の基本的な治療法の一つです。むくみは解消できますが、ストッキングを着用している間だけ緩和できる程度の効果しかないので、根本的な治療にはなりません。そのため、起きている間は1日中着用する必要があります(就寝時は外してください)。手軽な治療方法ですが、あくまで症状の進行を遅らせたりむくみを軽くしたりする程度のものです。そのうえ、弾性ストッキングを複数枚用意する必要があるうえに、かぶれや湿疹などの肌トラブルも起きやすいです。
もし、かぶれ・湿疹が発生した際は、使用を中止して医師へ相談しましょう。

メリット
  • 治療費が安くてリーズナブル
  • ストッキングをはくだけなので、お手軽にできる
デメリット
  • 保険適用ではないので、自費で購入する必要がある
  • 着用している間しか効果が得られず、根本的な治療ではない
  • 圧力によりかぶれやすく、皮膚トラブルを起こしやすい