【はじめに】
今年は例年より早めに梅雨明けとなり厳しい暑さが毎日続いています。「溶けそうな暑さで息が切れやすい」と訴える患者さんが多い時期がやってきたと感じています。実は、息切れや胸の違和感といった症状には狭心症の初期症状が潜んでいることがあります。今回は皆さんの日頃の不安を解消すべく、狭心症の初期症状に関する様々な情報をお届けします。
狭心症とは?
狭心症になると心臓に血液を送る冠動脈が何らかの原因で狭くなることで、心臓の筋肉に送る酸素が不足した状態になります。これは動脈硬化が原因であり、血管が狭くなることで様々な症状が出ると言われています。
狭心症の主な初期症状
【胸の圧迫感・締めつけ感】
- 胸が重い、締めつけられるような感じ
- 背中や腕、あごに痛みが広がる
【息切れ・動悸】
- 特に 女性に多い症状
- 胸の痛みが目立たず、「息がしづらい」「疲れやすい」と感じる
【めまい・吐き気・冷や汗】
- 一見、胃腸の不調や熱中症と誤解しがち
- 繰り返す場合は注意が必要です
狭心症の種類
狭心症の種類としては2つあります。
- 労作性狭心症:運動時や暑さ、精神的ストレスで起こり、安静にしたり薬を飲むことで数分以内に治まることが多いです。
- 不安定狭心症:労作だけでなく安静時でも痛むことが多いです。また胸の痛みが強く持続する場合は心筋梗塞の前兆の可能性があります。
初期段階では「息切れ」や「重だるさ」のみの場合もあるため注意が必要です。
特に、暑さによって体温が上昇し心拍数が異常に高くなったり脱水症状となることで心臓に対する負担が増えてしまい症状がより強く出てしまいます。
【症状チェック】
以下の項目で、あなたに当てはまるものがいくつあるかチェックしてみましょう。
- ・階段や坂道で胸が締めつけられる感じがする
- ・息切れ・動悸がいつもより強い
- ・左肩・腕・あごなどに違和感が広がる
- ・汗やめまい、吐き気を伴う胸の不快感
- ・数分で治まるが繰り返し起こる胸の痛み
これらに心当たりがある場合狭心症かもしれませんので、出来るだけ早めに診察を受けて先生に診てもらいましょう。
【セルフケア・生活の工夫】
普段の生活からできる予防・軽減方法があります。
- ・適度な運動:暑い時間帯を避けた散歩や軽い体操を習慣にしましょう。1日30分、週3回以上が理想的です。
- ・水分・塩分調整:水分補給はこまめに、適度な塩分摂取も忘れずに。汗をかく量が多い時は、水分と電解質(ナトリウムやカリウム)
- を同時に補給できる経口補水液やスポーツドリンクの活用も有効とされています。具体的な選択は体調や医師の指導に合わせて行いましょう。
- ・休息とストレス対策:体が熱を持つと普段よりも疲労感や倦怠感が強くなる傾向にあります。冷房下での休憩など、体への負荷を調整しましょう。
- ・禁煙・禁酒:動脈硬化の進行を抑える基本的な対策です。
- ・栄養バランス:野菜中心、脂質・塩分控えめな食事を心がけましょう。ただし、大量に汗をかいた時は水分と共に塩分やミネラルを補給する必要があります。
- ・セルフチェック習慣:症状が出れば「症状チェック」を参考に受診検討をしましょう。自覚症状がない場合でも、気になる変化や不安がある場合は、早めに医療機関へ相談することが大切です。
【当院でのサポート】
ふくおかクリニックでは、狭心症に対し以下の体制で患者さんをサポートします。
- 幅広い診療科目:内科・循環器・外科・漢方内科を対応し、心臓リハビリも実施しています。
- チーム医療体制:医師、看護師、理学療法士、臨床検査技師、管理栄養士など多職種で連携します。
- 超音波検査即日対応:臨床検査技師常駐により、当日検査が可能です。
- 完全予約制外来:待ち時間を軽減し、落ち着いて受診できる環境作りを目指しています。
- 栄養指導・生活サポート:管理栄養士による個別栄養カウンセリングを実施しています。
【こんな時には早めに受診を!】
胸の違和感や息切れは、狭心症など心疾患の初期サインかもしれません。「今日は体調が少し悪いだけ・・・明日には治るはず」と軽視せず、いつもと違う症状があれば早めに相談・受診することで狭心症の発症予防に繋がることがあります。少しでも不安な方は、いつでもお気軽に当院へご相談ください。
【執筆者】:理学療法士