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2026.01.14

心臓リハビリテーションの検査とは~安心して運動に取り組むために~

「心臓リハビリテーションって、運動する前にどんな検査をするんですか?」
外来で、こうしたご質問をいただくことがよくあります。

心臓リハビリテーション(心リハ)は、心臓病からの回復や再発予防にとても有効な治療ですが、
「心臓が悪いのに運動して大丈夫?」「検査は痛くない?」と不安に感じる方も多いと思います。

この記事では、心電図や心エコーなどの検査を担当している臨床検査技師の立場から、
心臓リハビリテーションで行う主な検査と、その目的をわかりやすくご紹介します。

なぜ心臓リハビリで検査が必要なの?

心臓リハビリテーションは、心臓にちょうどよい負荷をかけて機能を高めていく治療です。
しかし、心臓病をお持ちの方が自己流で運動すると、かえって負担になってしまうこと
もあります。

そのため、心リハの前後で検査を行う目的は、主に次の4つです。

安全性の確認

  • ・心臓に過度な負担がかからないか
  • ・危険な不整脈や虚血(心臓の血流が足りない状態)がないか

を確認し、「ここまでは安全に運動しても大丈夫」という範囲を決めます。

運動能力(体力レベル)の把握

  • ・今の体力がどのくらいか
  • ・どのくらいの強さ・時間の運動から始めるのが良いか

を評価します。

一人ひとりに合った運動プログラム作成

検査結果をもとに、

  • ・運動の強さ
  • ・時間
  • ・回数
  • ・頻度
    などをオーダーメイドで決めます。

効果の確認とプログラムの見直し

心リハの途中でも定期的に検査を行い、

  • ・運動の効果が出ているか
  • ・心臓の状態に変化がないか

をチェックします。必要に応じて、内容や負荷を調整していきます。

心臓リハビリでよく行う主な検査

ここからは、心臓リハビリテーションでよく行われる代表的な検査をご紹介します。

1.心電図検査(安静時12誘導心電図検査)

  • 胸や手足に電極を付けて、心臓の電気信号を記録します。

    • ・不整脈の有無
    • ・過去の心筋梗塞の痕跡
    • ・狭心症など虚血性心疾患の手がかり

    などを調べる、心リハ前の基本の検査です。

    2.心肺運動負荷試験検査

  • トレッドミル(ベルトコンベア式の歩行器)やエルゴメーター(自転車こぎ)の上で運動しながら心電図、血圧、呼気ガスなどを測定します。

    • ・運動したときに起こる虚血や不整脈の有無
    • ・「どこまで運動に耐えられるか」(運動耐容能)
    • ・効率的な運動負荷量の決定

    心リハの運動プログラムを決めるうえで非常に重要です。

  • 3.心臓超音波検査

  • 胸にプローブという機械を当てて、超音波で心臓の動きを見る検査です。

    • ・心臓の大きさ・形
    • ・心臓のポンプ機能(血液を送り出す力)
    • ・心臓の弁の動き
    • ・心不全の重症度

    などが分かります。

    心臓がどれくらい頑張れる状態かを事前に把握し、安全な運動強度を設定する材料になります。

  • 4.胸部X線検査

    レントゲン撮影で、

    • ・心臓の大きさ
    • ・肺の状態(肺うっ血の有無など)

    を確認します。

    心不全が進んでいないか、肺に水が溜まっていないかなどを評価し、運動の安全性をチェックします。

    5.血液検査

    採血で、

    • ・コレステロール
    • ・血糖
    • ・肝機能
    • ・腎機能
    • ・貧血の有無
    • ・心臓の負担の指標(BNP など)

    を調べます。

    高血圧・糖尿病・脂質異常症など、心臓病の背景にある生活習慣病のコントロール状況を見ながら、
    心リハの方針や治療方針を一緒に考えていきます。

    6.呼吸機能検査

    息を大きく吸ったり吐いたりする検査で、

    • ・肺の容量
    • ・気道が狭くなっていないか

    などを測定します。

    運動時の息切れが、

    • ・心臓が原因なのか
    • ・肺が原因なのか

    を見分けるために役立ちます。

    7.身体計測・体力測定

    • ・身長・体重・BMI(肥満度)
    • ・握力
    • ・開眼片足立ち(バランス)
    • ・立ち上がり
    • ・歩行のスピード検査

    などを行い、筋力・バランス能力・歩く力をチェックします。

    これらは、

    • ・日常生活動作(ADL)の目標設定
    • ・転倒予防
      などにつながる、心リハにとって大切な情報です。

    検査結果から、あなただけのリハビリプログラムへ

    検査の結果は、医師・理学療法士・臨床検査技師などのスタッフで共有し、
    一人ひとりに合わせた心臓リハビリテーションプログラムを作成します。

    例えば…

    • ・負荷心電図の結果から、安全に運動できる心拍数の上限を決める
    • ・心エコーでポンプ機能の低下があれば、軽い運動からゆっくり開始する
    • ・体力測定の結果が低ければ、筋力トレーニングを中心に始める

    など、検査結果は単なる「診断」だけでなく、
    「今のあなたにいちばん合ったリハビリ」を組み立てるための羅針盤になります。

  • ふくおかクリニックでの心臓リハビリテーション検査

    ふくおかクリニックは、京都府京都市右京区太秦にあり、心臓リハビリテーションを専門的に提供しています。

    当院の心臓リハの特長

    • ・循環器専門医による綿密な検査と管理
      すべての検査結果を丁寧に評価し、運動中の安全だけでなく、長期的な健康管理まで見据えてサポートします。
    • ・理学療法士との連携による個別運動プログラム
      検査結果と日常生活の様子をふまえ、無理なく続けられる運動内容をご提案します。
    • ・最新の機器と安心できる運動環境
      トレッドミルやエルゴメーターなどの設備を整え、運動中は心電図モニターで心臓の状態を見守りながら実施します。
    • ・生活習慣病の同時管理
      高血圧・糖尿病・脂質異常症なども総合的に診療し、心リハと一緒に「からだ全体の健康」を整えていきます。

     

  • まずは「検査で今の状態を知る」ところから

    「心臓リハビリに興味はあるけれど、検査が不安…」
    「自分の心臓で本当に運動しても大丈夫なのかな…」

    こうしたお気持ちは、とても自然なものです。

    心臓リハビリテーションにおける検査は、

      あなたの安全を守り、より効果的な回復につなげるための第一歩です。

      当院では、

      • ・検査の内容
      • ・検査中の流れ
      • ・その後のリハビリの進め方

      について、スタッフがひとつひとつ丁寧にご説明いたします。

      「詳しく話だけ聞いてみたい」という段階でも、どうぞ遠慮なくご相談ください。
      一緒に、心臓とからだの“今”を確認し、無理のない一歩を踏み出していきましょう。

      【執筆】
      臨床検査技師