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2025.12.10

糖尿病と心臓病の深い関係~血糖コントロールで“心臓を守ろう”

「最近、階段を上がっただけでドキドキして。血糖はそこそこだけど、心臓が心配で…。」と、先日、糖尿病で通院中のAさん(60代)が栄養相談に来られました。
冬は血糖が上がりやすく、運動量も減りがちで、「心臓は大丈夫かな?」と不安になる方が増える季節です。

実は糖尿病と心臓病には深い関係があり、「今は症状がないから大丈夫」と思っていても、知らないうちに心臓に負担がかかっていることがあります。
この記事では、糖尿病と心臓病のつながりについて、いつ循環器科を受診したらよいか、そして血糖コントロールで心臓を守るコツを、管理栄養士の立場からやさしくお伝えします。

症状チェック

まずはご自身の「心臓と血糖」のサインを、気軽にチェックしてみましょう。以下の項目で「当てはまるかも」と思ったら、少し立ち止まってみてください。

 

  • ・最近、食後しばらくしてから息切れや動悸を感じることが増えた
  • ・血糖値・HbA1cが少しずつ上がってきているけど、このままでいいかな?と思っている
  • ・足のむくみや疲れやすさを「年だから…」と流してしまっている
  • ・血圧やコレステロール、体重の増加も「まあ大丈夫かな」と思いながら放置している
  • ・家族に心臓病、脳卒中を経験した方がいて、「私も大丈夫かな」と心配している

 

もし1項目でも「当てはまるかも」と感じたら、少し意識を変えて、次の「病気や状態の解説」に目を通してみてください。

病気や状態の解説

糖尿病が「心臓病のリスク」を高める仕組み

糖尿病になると、血液中の“糖(グルコース)”が高めの状態が続くことがあります。これが、心臓の血管や心臓の筋肉に、少しずつ負担をかけていきます。
例えば、血管の壁が「糖が多くて疲れてきたなあ…」と感じると、硬くなったり内側に変化が起きたりします。

それが、動脈硬化(血管が固く・狭くなる状態)を促進する要因になり、心臓病のリスクを高めます。

日本の研究では、糖尿病の方は心臓の血管の病気(冠動脈疾患)のリスクが2~4倍に高まる、という報告があります。


また、心臓を守るための指針では、糖尿病があると血圧・コレステロール・体重・喫煙など他のリスクも“複数”まとめて管理することが勧められています。
つまり「血糖をただ下げればいい」だけではなく、「心臓にとって安心できる生活習慣」をつくることが大切です。
さらに、学会ガイドラインでは、“糖尿病がある方には心血管疾患(心臓・血管系の病気)を“早めに”見つけておくための検査や循環器科の受診も検討すべき” とされています。

ですから、「血糖が高めだけどちょっとだから…」という段階でも、「心臓を守るための受診・予防意識」をもつことが、実はかなり効果的です。

 

当院でのサポート

当院、ふくおかクリニックでは、糖尿病と心臓病の“つながり”を大切に考え、次のようなサポート体制を整えています。

  • ・内科・循環器科・外科・漢方内科・心臓リハビリまで、多方面からチームでサポート。
  • ・医師・看護師・理学療法士・検査技師・管理栄養士が連携して、一緒に「心臓を守るプラン」を立てています。
  • ・超音波検査(心臓・血管の状態を調べる検査)を導入。早めに“心臓の疲れ具合”をチェックできます。
  • ・管理栄養士が、血糖コントロールだけでなく「心臓にやさしい食事・生活習慣」のアドバイスを実施。冬~年明けにかけて「忘年会・新年会・寒さで運動量が下がる」などのリスクもふまえて対策を一緒に考えます。
  • ・駐車場・駐輪場も完備しており、通いやすさも◎
  • 「ちょっと気になるから相談だけ」という方も、お気軽にご来院いただけるような雰囲気を大切にしています。

「血糖を下げなきゃ…」と焦るのではなく、「心臓も無理しないでね」と伝えられるクリニックでありたいと、スタッフ一同思っています。

 

セルフケア・生活の工夫

年末年始(12月~1月)は特に、血糖・心臓にとって“ちょっと油断しやすい時期”です。そんな時期だからこそ、まずできる“ちょっとした工夫”をご紹介します。

  1. 1.食事の「こたつ+テレビ」状態にしない

     「寒いしこたつに入って片手におやつ…」という場面、ついありませんか?管理栄養士としてのアドバイスは、「おやつを“温かい飲み物+ナッツ少量”に置き換えてみる」。血糖の急上昇を防ぎ、心臓にも負担をかけにくくなります。

  2. 2.忘年会・新年会メニューで“血糖+心臓負担”を考える

     例えば、「揚げ物+甘いドリンク」がセットになりがちですが、揚げ物を焼き物・蒸し物に替えたり、甘いドリンクを無糖のお茶にするだけで、血糖・脂質・心臓負担の3点が少しずつ改善します。

  3. 3.運動量を“寒さ”で落とさない工夫

     外の散歩が億劫になる寒い時期には、「室内で立ち上がる回数を意識する」「テレビCMの間に足踏み60秒」など、小さな動きを積み重ねましょう。動くことで血流が良くなり、心臓の負担が軽くなります。

  4. 4.定期的な“振り返り日”を作る

     「12月は年末の忙しさで血糖が乱れやすかったな」「1月は寒さで運動できなかったな」と、月に1度カレンダーを見ながら振り返りましょう。“振り返り”すると、次の月に向けて意識が切り替わりやすくなります。

  5. 5.「ちょっと相談してみようかな」のハードルを下げる

     「受診=重い病気かも」と思って避けがちですが、当院では「血糖と心臓の関係で少し気になります…」という軽めのご相談でも大歓迎です!

  6. 早めの受診・相談が、結果として“心臓を守る”ことにつながります。

 

まとめ・受診へのご案内

今回は、糖尿病と心臓病の深いつながり、そして「血糖コントロール+受診+生活習慣」の3つの視点からお話ししました。
「血糖、高めだし…」「運動してないし…」と心配になっても、一人で抱えず、まずは“相談”から始めてみましょう。ふくおかクリニックでは、あなたの“心臓を守りたい”という想いを大切に、食事・運動・検査・診療の面でサポートいたします。
不安なときは、どうぞお気軽にご相談くださいね。心と体の安心を、一緒に紡いでいきましょう。

 

【執筆者】管理栄養士