心リハの検査

心臓リハビリとは

心臓リハビリテーション(心リハ)は、心臓病からの回復や再発予防に非常に効果的な治療法ですが、「どんなことをするんだろう?」「運動する前に何か検査があるの?」と疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれません。
心臓リハビリテーションを安全に、そして最大限に効果的に進めるためには、運動を開始する前や、プログラムの途中で様々な検査を行い、患者さん一人ひとりの心臓の状態や全身の体力を正確に把握することが不可欠です。これらの検査は、単に異常を見つけるだけでなく、あなたに最適な運動プログラムを作成するためのものでもあります。
この記事では、心臓リハビリテーションでどのような検査が行われるのか、それぞれの検査の目的や重要性について詳しく解説していきます。

なぜ心臓リハビリテーションで検査が必要なの?

心臓リハビリテーションは、心臓に適切な負荷をかけることで、その機能を高めていく治療です。しかし、心臓病を抱える患者さんにとって、闇雲に運動することは危険を伴う可能性もあります。
そこで、運動前に以下のような目的で様々な検査が行われます。

安全性の確保

心臓の状態を詳しく把握し、運動によって心臓に過度な負担がかからないか、不整脈などの危険な兆候がないかを確認します。これにより、安全に運動に取り組める範囲を特定します。

運動能力の把握

現在の体力レベルや心臓の予備能力を測定し、どれくらいの運動量から始めるべきか、目標とする運動レベルはどのくらいかを判断します。

個別のプログラム作成

検査結果に基づき、患者さん一人ひとりの病状、体力、リスク因子に合わせて、最適な運動強度、時間、種類、頻度などを決定します。

効果の判定とプログラムの見直し

リハビリテーションの途中で定期的に検査を行うことで、運動の効果が出ているか、心臓の状態に変化がないかを確認します。これにより、プログラムの調整や見直しを適宜行い、常に最適なリハビリを提供します。

これらの検査は、心臓リハビリテーションの効果を最大化し、かつ安全に進めるための非常に重要なステップです。

心臓リハビリテーションでよく行われる主な検査

心臓リハビリテーションで行われる検査は多岐にわたりますが、ここでは特に重要で一般的な検査についてご紹介します。

心電図検査(安静時心電図、負荷心電図)

安静時心電図

心臓の電気的な活動を記録し、不整脈や虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞など)の兆候がないかを確認します。
運動を開始する前の基本的な検査です。

負荷心電図(運動負荷試験)

トレッドミル(ランニングマシン)やエルゴメーター(自転車)を漕ぐことで、心臓に徐々に負荷をかけながら心電図を記録します。これにより、安静時には現れない虚血(心臓への血液供給不足)や不整脈の有無、運動耐容能(どこまで運動に耐えられるか)を評価します。心臓リハビリテーションの運動処方(どのような運動をどれくらい行うか)を作成する上で、最も重要な検査の一つです。

心臓超音波検査(心エコー)

超音波を用いて、心臓の形や大きさ、各弁の動き、心臓のポンプ機能(収縮力)などをリアルタイムで観察します。
心臓のダメージの程度や、心不全の重症度などを評価するために行われます。運動による心臓への影響を事前に把握し、安全な運動強度を設定するために役立ちます。

胸部X線検査

心臓や肺の大きさ、形、肺うっ血(肺に水が溜まる状態)の有無などを確認します。心不全の程度や、肺の病気の有無を把握するために行われます。

血液検査

コレステロール値、血糖値、肝機能、腎機能、貧血の有無、炎症反応など、全身の状態を評価します。特に、高血圧、糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病の管理状況や、心臓病に関連するマーカー(BNPなど)の値をチェックし、総合的な治療計画に役立てます。

呼吸機能検査

肺の容積や、息を吐き出す速さなどを測定し、肺の病気の有無や、呼吸器系の状態を評価します。
運動時の息切れの原因が心臓だけでなく、肺にある可能性も考慮するため、必要に応じて行われます。

身体計測・体力測定

身長、体重、BMI(肥満度)の測定はもちろん、握力や開眼片足立ち(バランス能力)、Timed Up & Goテスト(立ち上がり・歩行能力)など、全身の筋力やバランス能力、歩行能力を評価します。これらの結果は、日常生活動作(ADL)の改善目標設定や、転倒予防のための運動指導に繋がります。

検査結果に基づく個別プログラムの作成

これらの様々な検査結果を総合的に判断し、医師と理学療法士が連携して、患者さん一人ひとりに最適な心臓リハビリテーションプログラムを作成します。
例えば、負荷心電図の結果から、安全に運動できる心拍数の上限を設定し、運動中に心臓に負担がかかりすぎないように管理します。
心臓超音波検査でポンプ機能が低下していることが分かれば、最初は軽い運動から始め、徐々に負荷を上げていきます。
体力測定の結果が低い場合は、まずは筋力トレーニングを重点的に行い、基礎体力の向上を目指します。
このように、検査は単なる「診断」のためだけでなく、あなたの心臓リハビリテーションをパーソナライズし、最も効果的な方法で進めるための重要な羅針盤となるのです。

    ふくおかクリニックでの心臓リハビリテーション検査

    • ふくおかクリニックは、京都府京都市右京区太秦に位置し、心臓リハビリテーションを専門的に提供しています。
    • 当院では、患者さんが安心して心リハに取り組めるよう、上記の様々な検査を適切に実施し、その結果に基づいた「安全で、効果的で、継続しやすい」オーダーメイドのリハビリテーションプログラムを提供しています。

    当院の心臓リハビリテーションの強み

    循環器専門医による綿密な検査と管理

    経験豊富な循環器専門医が、全ての検査結果を丁寧に評価し、患者さんの心臓の状態を細かく把握します。これにより、運動中の安全性はもちろん、長期的な健康管理までを見据えたリハビリテーションを提供します。

    専門知識を持つ理学療法士との連携

    検査結果を理学療法士と共有し、患者さん一人ひとりの体力や目標に合わせた最適な運動処方を考案。専門的な知識と経験に基づいた個別指導を行います。

    最新の機器と安全な環境

    運動負荷試験用のトレッドミルやエルゴメーターなど、心臓リハビリに必要な設備を完備。運動中も心電図モニターで心臓の状態を常に監視できるため、安心して運動に取り組めます。

    生活習慣病の同時管理

    心臓病の原因となる高血圧や糖尿病などの生活習慣病も専門的に診療しているため、心臓リハビリと並行して、これらの疾患の管理も総合的に行い、全身の健康改善を目指します。
    「心臓リハビリに興味はあるけれど、どんな検査をするのか不安…」
    「自分の心臓で運動しても大丈夫か心配…」
    といった方もご安心ください。まずは、あなたの不安を解消することから始めましょう。当院のスタッフが、検査の内容や心リハの進め方について、一つ一つ丁寧にご説明させていただきます。
    まずは、お気軽にご相談ください。
    心臓リハビリテーションにおける検査は、あなたの健康と安全を守り、より効果的な回復を促すための第一歩です。ご自身の心臓の状態を知り、最適なリハビリを始めるために、ぜひ一度ご相談ください。