健康診断は、病気の「確定診断」を行う検査ではなく、異常の“兆し”を早めに拾い上げるためのスクリーニングです。 一時的な体調や測定条件によって数値が変動することもありますが、自覚症状のない生活習慣病や腎臓病、心臓疾患が隠れていることもあります。
京都市右京区の医療法人ふくおかクリニックでは、健診結果をもとに必要な確認検査を行い、生活改善から治療の要否まで丁寧にご説明します。 まずは健診結果(結果票)をご持参ください。
※ 胸痛、強い息切れ、突然の麻痺・ろれつ不良、失神、激しい頭痛がある場合は、健診結果を待たず速やかに救急受診をご検討ください。

血圧
よくある異常検査結果
- 血圧が高い(例:140/90mmHg以上)
- 境界域高血圧(例:130–139 / 80–89mmHg)
- 血圧が低い・ふらつきがある
(分類の目安として上記のような区分が用いられます。)

考えられる病名・状態
- 本態性高血圧(体質・加齢・塩分・肥満・運動不足など)
- 二次性高血圧(腎臓、ホルモン、睡眠時無呼吸などが背景のことがあります)
- 低血圧:脱水、薬剤の影響、自律神経の乱れ など
おそらく大丈夫であろう理由(よくある“たまたま”)
- 健診会場の緊張で上がる 白衣高血圧(家では正常でも会場で高く出ることがあります)
- 測定前の会話・歩行直後・喫煙やカフェイン・睡眠不足など、条件の影響
- カフ(腕帯)のサイズや姿勢の違いによる誤差
それでも受診をおすすめする理由
血圧は「1回の値」よりも、日々の平均が重要です。健診で高めと言われた方は、ご自宅での血圧(家庭血圧)も含めて確認することで、本当に治療が必要かがはっきりします。
健診結果と生活背景を踏まえて、再測定・家庭血圧の評価・必要時の検査を行い、無理のない改善計画をご提案します。「様子見でよい高め」なのか「今から下げた方がよい高血圧」なのかを一緒に整理しましょう。
心電図
よくある異常検査結果
- 期外収縮(脈が飛ぶ)/頻脈・徐脈
- ST-T変化(虚血疑い)、陰性T波・平低T波
- 右脚ブロック、房室ブロック、軸偏位、高電位(左室肥大疑い)など

考えられる病名・状態
- 不整脈(心房細動など)
- 狭心症・心筋梗塞などの虚血性心疾患
- 心肥大、心筋症、弁膜症、電解質異常、甲状腺疾患 など
おそらく大丈夫?(よくある“たまたま”)
- 期外収縮は、心臓に他の異常がない場合は治療不要とされることが多い一方、念のため原因の有無確認が推奨されます。
- ST-T変化や軸偏位、高電位などは、健康な方でも見られることがあるため、症状や他の検査と合わせた総合判断が必要です。
- 測定時の緊張、体調、電極の付け方などで波形が変わることがあります
心電図の「要再検・要精密」は、“念のため確認しておく価値が高い”というサインです。症状がなくても、心臓の病気が隠れていないかを一度確認しておくと安心です。
当院では、必要に応じて心電図の再検、心エコー、ホルター心電図などを組み合わせ、治療が必要な所見か、経過観察で十分かを丁寧にご説明します。
コレステロール(LDL・HDL・non-HDL など)
よくある異常検査結果
- LDLコレステロールが高い(「悪玉が高い」)
- HDLコレステロールが低い(「善玉が低い」)
- non-HDLコレステロールが高い
(健診では LDL-C 140mg/dL以上が「高LDL-C血症」の診断基準の目安として扱われ、120–139mg/dLは境界域として注意が促されます。)

考えられる病名・状態
- 脂質異常症(動脈硬化リスク上昇)
- 家族性(体質)・食事/運動習慣の影響
- 甲状腺機能低下症、腎疾患(ネフローゼ)などが背景にある場合もあります
おそらく大丈夫?(よくある“たまたま”)
- LDLは計算式で求めることが多く、中性脂肪が非常に高い場合(例:400mg/dL以上)などでは不正確になり得るため、条件によって再評価が必要です。
- 直前の食事内容・体重変動・飲酒などで、検査値がぶれることがあります
コレステロールは「数値だけ」で薬が決まるのではなく、血圧・血糖・喫煙・腎機能・家族歴などを合わせて、将来の心筋梗塞や脳梗塞のリスクを評価します。
当院では、健診結果をもとに追加検査や生活改善の優先順位を整理し、必要な方には治療をご提案します。
“今は生活で十分”か“今から治療で守るべき”かを明確にしましょう。
中性脂肪(トリグリセリド)
よくある異常検査結果
- 中性脂肪が高い:例)150mg/dL以上の指摘、さらに高値(例:300mg/dL以上)で受診勧奨になるケース
考えられる病名・状態
- メタボリックシンドローム、脂肪肝
- 糖代謝異常(糖尿病予備群~糖尿病)
- アルコール多飲、甘い飲料・間食の影響、甲状腺機能低下症 など
- 著明高値の場合は膵炎リスク評価が必要になることがあります
おそらく大丈夫?(よくある“たまたま”)
- 中性脂肪は食事の影響を受けやすく、特定健診では“空腹時(絶食10時間以上)”が原則とされています。食後採血や前日の飲酒・夜食で高く出ることがあります。
中性脂肪は、生活習慣の反映が大きい一方で、放置すると脂肪肝・糖尿病・動脈硬化につながります。
まずは「採血条件(空腹)」を確認し、必要なら再検で正確に評価しましょう。
当院では、食事・飲酒・運動のポイントを具体化し、必要に応じて追加検査を行って、改善計画をご一緒に作成します。
HbA1c(ヘモグロビンA1c)
よくある異常検査結果
- HbA1cが高め:例)5.6%以上の指摘
- 境界域:例)6.0–6.4%
- 糖尿病型の可能性:例)6.5%以上(ただし再確認が重要)
HbA1c 6.5%は、空腹時血糖 126mg/dL・OGTT2時間 200mg/dLに概ね対応するとされ、診断では血糖値等と合わせて判定します。
考えられる病名・状態
- 糖尿病/糖尿病予備群(耐糖能異常)
- 高血糖が続く生活習慣(間食・甘い飲料・運動不足・睡眠不足 など)
おそらく大丈夫?(よくある“たまたま”)
- HbA1cは比較的安定した指標ですが、鉄欠乏、溶血、腎機能障害、輸血後などで“血糖の実態とずれる”ことがあります。
- 1回の結果だけでは判断しきれず、再検や血糖値とのセット評価が重要です
HbA1cの上昇は、症状が出る前から進むことが多い一方で、早期から対策すれば将来の合併症リスクを下げやすい領域です。
当院では、HbA1cと血糖、体重、血圧、脂質などを総合して、「いま必要な対策」を明確にします。
「まだ大丈夫」と思える段階こそ、確認と軌道修正の好機です。
白血球数
よくある異常検査結果
- 白血球数が高い(軽度高値~高値)
- 白血球数が低い(軽度低値~低値)
考えられる病名・状態
- 高値:感染症、炎症、喫煙、薬剤(ステロイド等)、体質、血液疾患など
- 低値:ウイルス性疾患、体質、肝疾患、薬剤、血液疾患など
おそらく大丈夫?(よくある“たまたま”)
- 風邪気味・軽い炎症・ストレスなどで一時的に上下することがあります
- 喫煙者では高めに出やすいことがあります
白血球は「体のどこかで何かが起きている」サインである一方、原因の幅が広い項目です。
大切なのは、一過性か/続いているか、そして白血球の内訳(分画)です。
当院では、再検や追加採血で原因を整理し、必要があれば適切な専門連携も含めてご案内します。
健診で指摘された時点で一度確認しておくと安心です。
赤血球数
よくある異常検査結果
- 赤血球数(またはHb・Ht)が低い:貧血疑い
- 赤血球数(またはHt)が高い:多血傾向/血液濃縮疑い
貧血があると、赤血球数・ヘモグロビン・ヘマトクリットが低下します。

考えられる病名・状態
- 低値:鉄欠乏性貧血、慢性炎症、出血(消化管出血など)、腎機能低下、ビタミン不足など
- 高値:脱水、喫煙、睡眠時無呼吸、慢性肺疾患、多血症など
おそらく大丈夫?(よくある“たまたま”)
- 低値:月経の影響、食事バランス、検査時期による変動
- 高値:脱水や血液濃縮(発汗・水分不足)で一時的に上がることがあります
貧血は「よくある」一方で、背景に出血や慢性疾患が隠れることがあります。
ゆっくり進む貧血は症状が乏しいこともあるため、原因の確認が重要です。
当院では、鉄・フェリチンなどの追加検査や生活指導を行い、必要時には原因精査につなげます。
「体質だから」と決めつけず、まず一度ご相談ください。
尿潜血
よくある異常検査結果
- 尿潜血(±、+、++ など)が出た
- 「顕微鏡的血尿(自覚症状なし)」の指摘

考えられる病名・状態
- 膀胱炎・腎盂腎炎などの尿路感染症
- 尿路結石
- 腎炎など腎臓由来の病気
- 腎・尿管・膀胱などの腫瘍性疾患(頻度は高くないものの除外が重要)
おそらく大丈夫?(よくある“たまたま”)
- 月経血の混入、激しい運動直後などで一時的に陽性になることがあります(まずは条件を整えて再検が基本です)
- 尿試験紙で潜血陽性の場合、尿沈渣で赤血球の有無を確認するのが初期対応として推奨されます
尿潜血は「よくある指摘」ですが、繰り返す場合は原因確認が重要です。
当院では、再検・尿沈渣・腎機能評価・尿細胞診などを行い、必要時には適切な検査・専門受診につなげます。
「症状がないから放置」ではなく、「症状がない今こそ確認」が安心につながります。
尿蛋白
よくある異常検査結果
- 尿蛋白(±、+、++ など)が出た
- 「毎年出る」「潜血も一緒に出る」
考えられる病名・状態
- 慢性腎臓病(CKD)、慢性糸球体腎炎
- 糖尿病関連腎臓病、高血圧による腎障害
- 尿路感染症 など
おそらく大丈夫?(よくある“たまたま”)
尿蛋白には、起立性蛋白尿や運動後・発熱時などの「良性(病的意義が乏しい)蛋白尿」があり、採尿条件を整えて再検することが大切です。
また、より正確には尿蛋白/クレアチニン比などで定量評価を行うことが推奨されています。
尿蛋白が続く場合、腎機能低下の早期サインになり得ます。
腎臓病は初期に症状が乏しいため、「軽度でも繰り返す」時点での確認が腎臓を守ります。
当院では、採血(腎機能)・尿の再評価・血圧や血糖の確認を行い、必要な方には早期から対策をご提案します。
尿糖
よくある異常検査結果
- 尿糖(±、+、++ など)が出た
- 血糖やHbA1cは「そこまで高くない」のに尿糖だけ出る
考えられる病名・状態
- 糖尿病/耐糖能異常(血糖が高くなると尿に糖が漏れます)
- 腎性糖尿(体質として尿に糖が出やすい)
- 妊娠、薬剤(SGLT2阻害薬など)
一般に血糖が高くなると尿糖が陽性になり得ますが、血糖が正常でも尿糖が陽性の方(腎性糖尿など)もいるとされています。
おそらく大丈夫?(よくある“たまたま”)
- 健診の尿糖陽性だけで、直ちに糖尿病と確定はできません(ただし軽視はできません)。
- 食後や直前の糖質摂取、体質、薬剤の影響で一時的に陽性になることがあります
尿糖は「たまたま」のこともありますが、糖尿病の早期発見の入口にもなります。
尿糖陽性をきっかけに、血糖・HbA1cなどで状況を整理し、必要なら早期に生活改善や治療を開始することが重要です。
当院では、健診結果を踏まえて追加検査を行い、糖尿病なのか、体質なのか、別の原因なのかを明確にして、次に何をすべきかをわかりやすくご案内します。
受診の際のお願い(スムーズな評価のために)
- 健康診断の結果票(すべてのページ)をご持参ください
- 可能なら、過去の健診結果もあると経過が判断しやすくなります
- 血圧が気になる方は、家庭血圧を測っている場合は記録もお持ちください
必要な確認は「早いほど軽く済む」ことが多いです。
「たぶん大丈夫かもしれない」段階で一度確認し、安心につなげましょう。




















